№100 固定資産税:タワーマンションへの課税について 

2017.3.31 固定資産税:タワーマンションへの課税について 

マンションの固定資産税は、「固定資産評価額」を基に1棟全体の税額が算定され、それを床面積の割合に応じて各区分所有者に割り当てられます。

したがって、低層階か高層階かに関係なく、床面積が同じ場合には、どの階層であっても「固定資産評価額」も固定資産税も同じ額になります。

しかし、実際の販売価格は高層階の方が低層階より高いのが現状で、高階層の区分所有者に有利で低階層の区分所有者には不利な課税方法となり、両者に不公平が生じています。

また、「固定資産評価額」は相続税や贈与税を計算するときの課税価額にも使われるので、富裕層が相続税の節税対策(タワマン節税)として高層階を購入する動きが問題視されています。

そこで、今回、平成29年度の税制改正では、居住用超高層建築物(タワーマンション)の固定資産税の見直しが行われました。

タワーマンションの階層が1階上がると「階層別専有床面積補正率」により補正し、高層階になるほど固定資産税が高くなるという内容です。

「階層別専有床面積補正率」とは、階層が1階上がると税額の按分の基となる床面積が約0.26%大きくなるように設定された補正率をいい、結果として、固定資産税が約0.26%増加することになります。

例えば、50階建のタワーマンションでは、1階に住む区分所有者に比べ50階に住む区分所有者は、0.26%×50=13% 固定資産税が高くなる仕組みです。

この仕組みにおいては、マンション1棟全体の税額は変わらないので、高層階の区分所有者の固定資産税は増税になる一方、低層階の区分所有者は減税になります。

この改正は、 平成29年4月1日以降に売買契約が締結された高さが60メートルを超える新築物件で、平成30年度から新たに固定資産税が課税されることとなるタワーマンションについて適用されます。

固定資産税の賦課期日は毎年1月1日ですから、改正の対象は平成30年1月1日以降に引渡される新築物件になるので、平成29年12月31日までに完成して引渡しを受ければ、現行の算定方法で固定資産税が課税されることになります。

また、中古マンションにはこの改正が及びませんので、既に建っているタワーマンションの固定資産税については「階層別専有床面積補正率」による補正はありません。

※なお、相続税や贈与税の「タワマン節税」については、平成30年度の税制改正で増税する方向で検討中のようです。したがって、平成29年12月31日までに完成して引渡しを受けられるタワーマンションの高層階に駆け込み需要が発生する可能性があります。

(完)

おすすめ