№09 医療費控除の対象となる旅費・交通費
2009.08.31 所得税
医療費控除の対象となる旅費・交通費
所得税の確定申告で、医療費控除の対象となる旅費や交通費は、
(1)病院、診療所、老人保健施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価のうち、病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額 (所令207)。
(2)医師等による診療等を受けるための通院費のうち、その診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものに限られています(所基通73-3)。
そこで、具体的に検討すると
①お産のために実家へ帰る旅費
お産のために実家へ帰省する旅費については、上記(1)(2)のいずれにも当てはまらないため、医療費控除の対象とはなりません。
②遠隔地の病院で治療を受けるための旅費
遠隔地の病院でなければ治療ができない難病にかかった者が、治療を受けることになった場合の旅費は、原則として医療費控除の対象となります。ただし、病状からみて近隣の病院でも治療できる場合には、遠隔地までの旅費を医療費控除の対象とすることができません。
③子供の通院に母親が付き添う場合
患者の年齢や病状からみて、患者を一人で通院させることが危険な場合には、患者の通院費のほかに通院のために通常必要な付添人の交通費も医療費控除の対象となります。しかし、入院している子供の世話をするために母親が通院している場合は、患者である子供自身が通院していないことから、母親の交通費は、医療費控除の対象とはなりません。
④病院に収容されるためのタクシー代
タクシー代については、病状からみて急を要する場合や、電車、バス等の利用ができない場合には、その全額が医療費控除の対象となります。また、高速道路の利用料金が含まれているときは、それも医療費控除の対象となります。
⑤自家用車で通院する場合のガソリン代・駐車代
医療費控除の対象となる通院費は、上記(1)のように電車賃やバス賃などの人的役務の提供の対価として支出されるものをいいます。したがって、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金は、医療費控除の対象とはなりません。
(完)