№197 源泉所得税:令和7年分の源泉徴収と年末調整
2025.07.13
令和7年度税制改正に関しては№192で解説しましたが、今回は源泉所得税の改正と令和7年分の年末調整について詳細したいと思います。
1.概要(国税庁HPより抜粋)
令和7年度税制改正により、所得税の「基礎控除」および「給与所得控除」に関する見直し、並びに「特定親族特別控除」の創設が⾏われました。これらの改正は、原則として、令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適⽤されます。
このため、令和7年12月に行う年末調整、令和7年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます。
令和7年11月までの源泉徴収事務に変更は生じないので、毎月の税額は改正前の源泉徴収税額表に基づき計算し、納付することになります。
2.令和7年分年末調整の留意事項(令和7年4月の国税庁パンフレットより抜粋)
① 改正後、新たに扶養控除等の対象となる扶養親族等を有することとなった従業員は、その旨を記載した「令和7年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、給与の支払者に提出することとなります。
② 年齢19歳以上23歳未満で合計所得金額が58万円超123万円以下の親族(里子を含み、配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。)を有する人は、新たに「特定親族特別控除」を受けることができることとされました。
年末調整においてこの控除の適用を受けようとする従業員は、その年最後に給与の支払を受ける日の前日までに「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を給与の支払者に提出することとなります。
③給与の支払者は、次のイ~ハに留意して年末調整の計算をすることとなります。
イ.令和7年12月に年末調整の計算をする際には、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用します。国税庁ホームページに令和7年8月末頃に掲載予定です。
ロ.基礎控除額が改正されましたので、従業員から提出を受けた「給与所得者の基礎控除申告書」を基に、基礎控除額を控除します。
ハ.特定親族特別控除が創設されましたので、従業員から提出を受けた「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を基に、特定親族特別控除額を控除します。
また、特定親族特別控除の創設に伴い、令和7年12月以後の「給与所得の源泉徴収票」が改正されました。特定親族特別控除の適用がある場合には、給与所得の源泉徴収票に特定親族特別控除額等を記載してください。
(注) 改正後の給与所得の源泉徴収票は、令和7年中に支払うべき給与でその最後の支払日が令和7年12月1日以後であるものから使用することとなります。
なお、改正後の様式は、国税庁ホームページに掲載されています。
3.補足説明
- 令和7年11月21日~令和7年12月20日までを支給対象期間とする12月分給与を12月25日に支給する場合、12月分給与は令和7年分の年末調整で行います。
- 令和7年12月21日~令和8年1月20日までを支給対象期間とする1月分給与を翌年1月25日に支給する場合、翌年1月分給与は改正後の税額表で源泉徴収します(令和8年分年末調整の対象)。
- 令和7年12月1日~令和7年12月31日までを支給対象期間とする12月分給与を翌年1月5日に支給する場合、12月分給与は改正後の税額表で源泉徴収します(令和8分年末調整の対象)。
このように、支給日ベースで年末調整の適用年分を判断することになります。
(完)