№17 「及び」と「並びに」の違い
2010.04.05 注意すべき法律用語その(2)
今回は条文に出てくる「及び」と「並びに」の違い を解説します。
①「及び」は2個またはそれ以上のものの全てを指す場合に用います。3個以上でも同じ段階での並列は、初め以下のつなぎを読点で、最後の語句を「及び」で結びます。
例えば、「果物のリンゴ及びミカン」という表現や、「果物のリンゴ、ミカン及びブドウ」という表現。
②「及び」が複数出てくる表現もあります。例えば、「収益の額及び費用の額につき益金の額及び損金の額に算入する」という場合には、どう読むのでしょうか?
A.「収益の額を益金の額に算入する」「費用の額を損金の額に算入する」と2通りに読む。
B.「収益の額を益金の額に算入する」「収益の額を損金の額に算入する」「費用の額を損金の額に算入する」「費用の額を益金の額に算入する」というように4通り(たすきがけ)に読む。
この例では、「収益の額を損金の額に算入する」という表現と、「費用の額を益金の額に算入する」という表現は存在しないので、Aのように2通りに読みます。
③「並びに」は、複雑な並列構造を表す場合に、より大きな並列構造を表すときに用います。
例えば、「果物のリンゴ」と「野菜のキャベツ及びレタス」の全てを列挙する場合は、「果物のリンゴ並びに野菜のキャベツ及びレタス」というように表現します。
※「又は」と「若しくは」の関係では、より小さな並列構造を表すときに「若しくは」を用い、「及び」と「並びに」の関係と逆にになっていますので注意!
では、「果物のリンゴ並びに野菜のキャベツ及びレタス」と「魚のフグ及びマグロ」を並列させる場合にはどのように表現するのでしょうか?
この場合には、「果物のリンゴ並びに野菜のキャベツ及びレタス並びに魚のフグ及びマグロ」というふうに、一番小さな並列構造にだけ「及び」を使い、他は全て「並びに」を重複して表現します。
(完)