№27 建物に対する内部造作の耐用年数

2011.2.25 耐用年数通達/建物に対する内部造作の耐用年数

 法人が自己の所有する建物に内部造作をした場合には、その造作が建物附属設備に該当する場合を除いて、その造作の構造がその建物の構造と異なっている場合であっても、その建物と同じ耐用年数を適用しなければなりません。

 例えば、鉄筋コンクリート造の建物の内部に木造の内装工事を施しても、その内装を建物から分離して、木造の耐用年数を適用することはできません。
 また、工場建物に内部造作をして防音、遮光、放射線防御等を施設した場合であっても、その建物と同じ耐用年数が適用されます(耐通1-2-3)。

 次に、法人が貸借している他人の建物を自己の用に供するために内部造作をした場合(現に使用している用途を他の用途に変えるために造作した場合も含む)には、その建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して、合理的に耐用年数を見積もることとされています(耐通1-1-3)。ただし、その建物について賃借期間の定めがあり、その賃借期間の更新ができないもので、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、その賃借期間を耐用年数として償却することができます(耐通1-1-3但し書き)。
 なお、同一の建物についてされた造作は、そのすべてをまとめて一つの資産として償却をしますから、その耐用年数は、造作の種類別に見積もるのではなく、その造作全部を総合して見積もることになります。

 では、なぜ自己所有の建物に内部造作をした場合と、他人の建物に内部造作をした場合で耐用年数の取り扱いが違うのでしょうか?その理由は次のように考えられます。
 まず自己所有の建物については、その骨格となる柱や屋根、外壁、内部造作等をすべて勘案して一つの構造体として耐用年数が算定されているので、内部造作をした場合であっても建物の耐用年数が適用されるわけです。
 次に、他人の建物に内部造作をした場合ですが、この場合は建物を所有せずに内部造作だけを所有することになるので、建物の耐用年数を適用することは実態に合いません。そこで、他人の建物に内部造作をした場合には、その内部造作を一つの資産とみなして、合理的な方法で耐用年数を見積もることとされているのです。

 このように、税法や通達には「合理的な方法」という表現がよく用いられています。合理的な方法が具体的に規定されている場合もありますが、多くの場合は特に定めがありません。このような場合には、複数の合理的な方法の中から法人が任意に選択することができます。ただし、一度選択した方法は継続適用する必要があります。

(完)

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