№58 贈与税:相続時精算課税制度の改正
2013.08.25 相続時精算課税制度の改正
前回は祖父母から孫への教育資金贈与の創設について解説をしましたが、祖父母から孫への相続時精算課税制度の改正も行われましたので、今回はこれについて説明します。
平成27年1月1日以後に贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の孫(その年1月1日において20歳以上である者に限る。)であり、かつ、その贈与をした者がその年1月1日において60歳以上である場合には、その贈与により財産を取得した者については、相続時精算課税(注1)が適用されることになりました(措法70条の2の5)。
(注1)
相続時精算課税制度とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。贈与時の贈与税は贈与者ごとの贈与税の課税価額から最高2,500万円までの特別控除額を控除し、その残額に一律20%の税率を乗じて算出します。
今回の改正を改正前と改正後に分けて整理すると以下のようになります。
(1)贈与者
①改正前・・・その年1月1日において65歳以上の者
②改正後・・・その年1月1日において60歳以上の者
(2)受贈者
①改正前・・・その年1月1日において20歳以上の子
②改正後・・・その年1月1日において20歳以上の子及び孫
(贈与のパターン)
①改正前・・・65歳以上の父、母 → 20歳以上の子 に贈与
②改正後・・・60歳以上の父、母 → 20歳以上の子 に贈与
60歳以上の祖父、祖母 → 20歳以上の孫 に贈与(注2)
(注2)孫は祖父母の相続人ではないので、祖父母の相続時に孫は相続人とみなされます
(完)